「整理収納」「整理整頓」「掃除」。
どれも部屋をきれいにするための言葉として使われていますが、それぞれの役割は少しずつ異なります。
私は、整理収納は「暮らしの土台をつくること」、整理整頓は「整えた暮らしを日々メンテナンスすること」、掃除は「ホコリや汚れを取り除き、空間を清らかにすること」だと考えています。
この3つは、住環境を整えるうえで密接に関係しています。整理収納によって暮らしの土台が整うと、日々の整理整頓がしやすくなり、掃除もラクになります。
今回は、整理収納・整理整頓・掃除の違いと、それぞれの関係についてお伝えします。
目次
整理収納・整理整頓・掃除は何が違う?
はじめに、それぞれの役割を簡単に整理してみましょう。
・整理収納:今の暮らしに必要なモノを見極め、モノの住所を決めて使いやすく収めること
・整理整頓:使ったモノを戻し、不要になったモノをときどき見直して、日々の乱れや変化を整えること
・掃除:ホコリや汚れを取り除き、清潔な状態にすること
一般的に「整理」とは、必要なモノと不要なモノを分け、不要なモノを取り除くこと。「整頓」とは、必要なモノを使いやすく、戻しやすい状態に整えることを指します。このコラムでは、整理と整頓を日々繰り返していくことを「暮らしのメンテナンス」と捉えてお伝えします。
整理収納で暮らしの土台をつくり、整理整頓と掃除によって、その状態を保っていく。このように考えると、3つの関係が分かりやすくなるのではないでしょうか。

整理収納は、暮らしの土台づくり
整理収納を行うときは、目の前にあるモノだけを見ていても、本当に暮らしやすい収納にはなりません。
部屋の広さや間取り、収納スペース、家族構成、家事動線、生活のルーティン、家具の配置、ライフスタイル、趣味、持っているモノの種類や量など、暮らし全体を把握することから、整理収納は始まります。
そのうえで、一つひとつのモノと向き合っていきます。
「これは本当に今の暮らしに必要なのか、心が潤うモノなのか」
「どのくらいの頻度で使っているのか」
「どこにあれば使いやすく、戻しやすいのか」
「家の中に入ってきたモノは、一時的にどこに置くのがいいのか」
このようなことを考えながら、今の暮らしに必要なモノを見極め、モノや人の動きを考えながら、使いやすい場所に収めていきます。
生活のルーティンなど、一見するとモノの収納には関係がなさそうな事柄まで確認するのは、そのためです。単に収納用品を増やしたり、空いている場所へモノを詰め込んだりするだけでは、暮らしにあった収納にはなりません。
私は、整理収納とは今の自分や家族の暮らしに合った土台をつくることだと考えています。
人生の節目には、整理収納の見直しが必要
結婚したとき、子どもが生まれたとき、進学や就職をしたとき、家族構成が変わったとき、そして大切な方との別れを経験したとき。
このような人生の大きな節目では、必要なモノの量や使い方、日々の過ごし方も大きく変わります。以前は使いやすかった収納が、今の暮らしには合わなくなっていることも多々あります。
片づけてもすぐに散らかってしまう場合は、性格や努力の問題ではなく、人生の節目で暮らしが変わり、整理収納の仕組みがその変化に追いついていないのかもしれません。
人生の節目は、暮らしの土台を見直すタイミングでもあります。
「今の暮らしに、このモノの量や収納量は合っているだろうか」
「収納の設置場所は、今の生活動線に合っているだろうか」
「以前は必要だったけれど、今は役割を終えたモノはないだろうか」
そんな視点で整理収納を見直してみることが大切です。
大きな暮らしの変化がなくても、年に1回程度を目安に、暮らしの土台を点検できると理想的です。年末の大掃除や、ゴールデンウィーク、シルバーウィークなどの長期休暇を利用するのもよいでしょう。
コロナ禍をきっかけに、暮らしの土台を見直した経験
私自身が経験した近年の大きな人生の節目は、コロナ禍でした。
東池袋には創業当時から事務所を構えていましたが、コロナ禍をきっかけに、ほとんど事務所へ行けない日々が続きました。
一方で、オンラインでできる仕事も増えました。そこで思い切って拠点を見直し、自宅兼事務所として使える物件を探して、引っ越すことにしました。
自宅と東池袋の事務所、2か所の引っ越しを同じ日に行ったため、モノの整理は本当に大変でした。
「どうすれば家事と仕事を効率よく行えるだろう」
「猫たちが隠れたり、くつろいだりできる場所は、どこにつくればよいだろう」
そんなことを考えながら部屋のエリアを分け、大きなスペースを占めていた書類も電子化しました。
少し時間はかかりましたが、今の暮らしに合わせて住環境を一から見直したことを、昨日のことのように思い出します。

整理整頓は、日々行う暮らしのメンテナンス
結婚や引っ越しなどの大きな変化は分かりやすいものですが、暮らしは日々少しずつ変化しています。一日として同じ暮らしはない、といっても言い過ぎではないかもしれません。
毎日の暮らしの中では、使って元の場所から動いたモノだけでなく、要らなくなったモノ、使えなくなったモノ、興味が薄れたモノなども生まれてきます。
以前は夢中になっていたことが、ほかのことに興味が移り、いつの間にか色あせて見えるようになった。皆さまにも、そのような経験があるのではないでしょうか。
だからこそ、日々の整理整頓が必要になります。
使ったモノを元の場所へ戻すだけでなく、ときどきモノを見直し、今の暮らしとの小さなズレを整える。整理整頓は、整理収納でつくった土台を保つためのメンテナンスなのです。
植物が好きな私も、持ち物を見直しています
私は幼い頃から植物が大好きです。
種を蒔いて花を咲かせ、その種を収穫して、翌年また蒔く。そのサイクルを、ずいぶんと年齢を重ねた今も続けています。
好きなものだからこそ、種や植木鉢、園芸用品は、意識していても少しずつ増えてしまいます。発芽期間が過ぎて蒔けなくなった種や、長い間使っていない植木鉢などは、ときどき見直して整理しています。
大切なのは、好きなものを減らすことではありません。
今も大切にしたいものを選び、気持ちよく楽しめる状態に整えることです。
整理整頓は、ただモノを減らすために行うものではなく、自分の「今」を確認し、見つめ直す時間でもあるのだと思います。
掃除は、ホコリや汚れを取り払うだけにあらず
掃除とは、一般的にはホコリや汚れを取り除く作業です。
私たちがお風呂に入って、身体についた汗や皮脂汚れなどを落とすように、部屋にも掃除が必要です。毎日すべての場所を掃除するのは難しくても、長い間まったく掃除をしなければ、汚れはどんどんたまっていきます。
また、掃除には、単に汚れを落とすだけではない働きがあると、私は感じています。
窓を開け、ホコリや汚れを払い、部屋の空気を入れ替える。掃除を終えたあと、なんとなく重く感じていた空気が澄み、清々しい気持ちになった経験はありませんか。
部屋がきれいになると、気持ちまで少し軽くなることがあります。私自身も、嫌なことが起きると掃除を始めて気分をリフレッシュしようとします。掃除が終わるころには気持ちの切り替えもでき、部屋もスッキリきれいになって、より仕事に打ち込むことができます。
掃除は、空間を清潔にするだけではなく、そこで過ごす人の気持ちにも影響を与えるものではないでしょうか。
整理収納の仕組みが整っていると、整理整頓も掃除もラクになる

床やテーブルの上にモノがたくさん置かれていると、掃除を始める前にモノを移動しなければなりません。
使ったモノを戻す場所が決まっていなければ、片づけるたびに「これはどこに置こう」と考えることになります。
これでは、整理整頓も掃除も面倒になってしまいます。
反対に、整理収納によって必要なモノが選ばれ、それぞれの定位置が決まっていれば、使ったあとも戻しやすくなります。床や家具の上に置かれるモノが少なくなれば、掃除にもすぐ取りかかれます。
つまり、日々の整理整頓や掃除をラクにするためには、その前に整理収納で暮らしの土台を整えておくことが大切なのです。
整理収納は、日々の片づけをラクにし、掃除に取りかかるまでの手間を減らし、日々の掃除を快適にするための大切な土台になります。
整理収納・整理整頓・掃除で、暮らしは整っていく
整理収納・整理整頓・掃除は、どれか一つだけを行えばよいものではありません。
まず整理収納によって、今の暮らしに必要なモノを見極め、使いやすく戻しやすい仕組み、つまり暮らしの土台をつくります。そして、日々の整理整頓で小さな乱れや変化を整え、掃除によってホコリや汚れを取り除きます。
この3つがうまくつながることで、暮らしやすい状態を保ちやすくなります。
暮らしは、毎日少しずつ変化しています。
「一度きれいにしたから終わり」ではなく、今の自分や家族に合っているかを、ときどき見直してみてください。
整理収納で暮らしの土台を整え、整理整頓と掃除で日々手を入れていく。その積み重ねが、気持ちよく過ごせる暮らしにつながっていくのだと思います。



